瘧病おこり)” の例文
坊門ノ宰相清忠は、そうそう下山して行ったが、途中の輿こしのうちでも、瘧病おこりかかったようなだるい熱ッぽさを持ちつづけて帰った。
曰く、「矢筈草俗に現の証拠といふこの草をとりみそ汁にて食する時は痢病りびょうはなはだ妙なり又瘧病おこり及び疫病等えきびょうなどにも甚こうあり云々うんぬん」。
矢はずぐさ (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
しかし、遠ざかる武者ひびきへ耳をすましていた彼は、やにわに瘧病おこりのような発作で、彼女の白い濡れた顔を胸の下に抱きふせにかかった。
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それに、あいにく彼が、瘧病おこりをわずらったことも事実である。——いや、その病をもおして、馬上都を立ち、播磨への征途へついていたほどだった。
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
瘧病おこりだそうだ……。数日らいの兄者あにじゃの御病気は」
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)