疥癬ひぜん)” の例文
彼は絶えず誰かに嘲笑されるだろうという恐怖を疥癬ひぜんのように皮膚に繁殖させていた。必要以上に肩身の狭い思いを、きょろきょろ身辺を見廻す眼の先にぶら下げていたのである。
青春の逆説 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
ここらあたりにもまた沢山たくさんの湯がわいておる。湯坪ゆつぼという村にはすじ湯、大岳おおたけ地獄、疥癬ひぜん湯、河原の湯、田野たのという村には星生ほっしょうの湯、中野の湯、かんの地獄、うけくち温泉というのがある。
別府温泉 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
先生のげんによると、それはタムシ草と云って、その葉や茎から出るしるれば疥癬ひぜんの虫さえ死んでしまうという毒草だそうで、食べるどころのものでは無い危いものだということであって
野道 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
翌朝内山の手の甲を見ると、一面に疥癬ひぜんが出来て膿んで血が出て居た。