畸形的きけいてき)” の例文
されば河内介の畸形的きけいてき情慾は夫人に離れることを惜しむと共に、これらの環境から遠ざかることを強くいとったに違いない。
眉の濃い大きな大きな眼を持ったいい子なのですが、体はまだ十四、五の子供くらいしか発育していないので、畸形的きけいてきなみじめな印象を見る人の心に感ぜしめます。
青春の息の痕 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
一つ二葉亭は洞察が余り鋭ど過ぎた、というよりもすべてのものを畸形的きけいてき立体式に、あるいは彎曲的螺旋式らせんしきに見なければ気が済まない詩人哲学者通有の痼癖こへきがあった。
二葉亭追録 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
首筋のあたりを見ると、間違ひもなく細紐ほそひもで締められた跡がありますが、それも至つて薄く、首が畸形的きけいてきに伸びてない點など、自殺でないことは馴れた八五郎には一と眼で解ります。
最大なはれがましさを味わう日でもあるので、指先やびんの一すじにも、細かい心をつかって、白いとか柔軟とかいうよりも、むしろ畸形的きけいてきにぶよぶよしている自分の肌を、女みたいに屈曲して
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
首筋のあたりを見ると、間違いもなく細紐ほそひもで絞められた跡がありますが、それも至って薄く、首が畸形的きけいてきに伸びてない点など、自殺でないことは馴れた八五郎には一と眼でわかります。