申渡もうしわたし)” の例文
九郎右衛門は兼て宇平に相談して置いて、文吉を呼んでこの申渡もうしわたしをした。宇平はそばで腕組をして聞いていたが、涙は頬を伝って流れていた。
護持院原の敵討 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
彼は自己の宣告を受けるため、二十一度のしもに、襯衣シャツ一枚の裸姿はだかすがたとなって、申渡もうしわたしの終るのを待った。そうして銃殺に処すの一句を突然として鼓膜こまくに受けた。
思い出す事など (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
即時に目附役場に出ると、各通の書面を以て、「御即位御祝式に被当あたられ思召帰住御免おぼしめしきじゅうごめん之上、兵士なにがし父に被仰付おおせつけられ以前之年数被継遣之いぜんのねんすうこれをつぎつかわさる」と云う申渡もうしわたしがあった。
堺事件 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
うるう七月朔日ついたちにりよに酒井家の御用召があった。たつの下刻に親戚山本平作、桜井須磨右衛門が麻上下あさがみしもで附き添って、御用部屋に出た。家老河合小太郎に大目附が陪席して申渡もうしわたしをした。
護持院原の敵討 (新字新仮名) / 森鴎外(著)