産出うみだ)” の例文
実際方面における抱負も或る人々の思うように万更まんざら詩人的空想から産出うみだしたユートピヤ的あるいは志士気質の自大放言ではなかった。
二葉亭四迷の一生 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
『だつて君、考へて見たまへ。形の無いところに形が見えたり、声の無いところに声が聞えたりするなんて、それそこが君の猜疑深うたがひぶかく成つた証拠さ。声も、形も、其は皆な君が自分の疑心から産出うみだした幻だ。』
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
池辺三山が評して「造物主が天地万物を産出うみだす時のくるしみ」といったは当時の二葉亭の苦辛を能く語っておる。
二葉亭四迷の一生 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)