甚内じんない)” の例文
また利休居士りきゅうこじ珍重ちんちょうしていた「赤がしら」と称える水さしも、それを贈った連歌師れんがし本名ほんみょうは、甚内じんないとか云ったと聞いています。
報恩記 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
御先祖大場甚内じんない様、大坂夏冬の陣に抜群の御手柄を現わし東照宮様の御墨付を頂いたばかりに、この度御所領の騒動にも、格別の御沙汰もなく、御目こぼしになりました。
甚内じんないどのでおわすか。それがしは、北畠家の老職、滝川三郎兵衛で」
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
北条屋ほうじょうやを救った甚内じんないは、わたしたち一家の恩人です。わたしは甚内の身に危急ききゅうがあれば、たとえ命はなげうっても、恩に報いたいと決心しました。
報恩記 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
甚内じんないは五体をしびらせておそれいった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
甚内じんないは一声叱ったまま、元の通り歩いて行きそうにします。わたしはほとんど気違いのように法衣ころもすそすがりつきました。
報恩記 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)