珍饌ちんせん)” の例文
「されば、季節は冬、百味の珍饌ちんせんあるも、一花の薫色くんしょくもないのは、淋しくありませんか。左慈は、卓の花を献じようと思います」
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そうであるとするならば、いも虫、みみずも、ヒルも珍饌ちんせんとして味の季節を持っているであろうか。
季節の味 (新字新仮名) / 佐藤垢石(著)
よしやそれが贖物の千位の一位にも足らぬものであろうとも、美衣も珍饌ちんせんも重宝も用をなさぬ永遠の若返りのために、彼はそうすることを欲しているのである。犠牲となる空無の羊はほふられもしよう。
されば、馳走の膳も、客来一味の簡粗かんそたるも、山海の珍饌ちんせんを以てお待ちくださるも、御随意にお始めあるがよろしかろう。
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)