玻璃鐘はりしょう)” の例文
遠い野面のづらには霜に濡れた麦の切株、玻璃鐘はりしょうの帽子をかぶせたサラドの促成畑、前庭に果樹園を持った変哲もない百姓小屋、いずれも駱駝らくだ色にすすぼけ、鳥肌立ったる冬景色。
「まるで玻璃鐘はりしょうじゃな。」と、侍従長はいいました。
洋館の客間の暖炉棚に載っているスイス製の千日捲せんにちまきの置時計は、むかしは祖父の自慢のものだったが、よほど前から動かなくなり、丸い玻璃鐘はりしょうの中で赤く錆びついていた。
我が家の楽園 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)