狭隘けふあい)” の例文
旧字:狹隘
知らずや宇宙は卿曹の哲学に支配せらるゝが如き狭隘けふあいなる者に非ず、天地の情、乾坤けんこんの美は区々たる理論の包轄し得べき者に非るを。
詩人論 (新字旧仮名) / 山路愛山(著)
誰か徒為いたづらに旧思想を墨守し、狭隘けふあいなる国家主義を金城鉄壁とあがめ、己れと己れの天地を蠖屈くわくくつせまきに甘んぜんとするものぞ。
一種の攘夷思想 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
今の作家が自家の狭隘けふあいなる観察に材をひろひとりて、其の内容の余りに吾人の実生活と風馬牛なるの観あるに対して一層吾人の関心せる、興味多き、実世間、現思潮に接近せよといふか
国民性と文学 (新字旧仮名) / 綱島梁川(著)
独断なり故に狭隘けふあいなり。彼は数個の原則をつかみ此を以て人事の総てを論断せんとせり。彼は何物も此原則の外に逸する能はずとせり。
明治文学史 (新字旧仮名) / 山路愛山(著)
人或は曰ふ信条の如き狭隘けふあい、独断の物を掲げて以て世に示すことは思想の自由を尊ぶ者をして其中に入るを嫌はしむるの媒たりと。異なるかな言や。
信仰個条なかるべからず (新字旧仮名) / 山路愛山(著)