ねろ)” の例文
いつもこそこそと拙者をつけねろうておるくせに、なぜ今ここへこうに躍り立って、いさぎよく弦之丞へ名乗りかけぬか。
鳴門秘帖:03 木曾の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
折角の巨人、いたずらに、だだあ、がんまの娘をねろうて、鼻の下の長きことその脚のごとくならんとす。早地峰はやちねの高仙人、ねがわくはの葉のこんを緊一番せよ。
遠野の奇聞 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「左様、そなたは、大方、他人のいのちをねろうている——」
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
すなわち、川尻、敷浪の両地を抑えれば、いかに、この末森城からのろしを揚げても、その中間が断たれているため、用をなさぬことを、ねろうたものじゃよ。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)