狗児ちんころ)” の例文
旧字:狗兒
同じ学校の上の級に沼波ぬなみというのがあった。僕は顔も知らないが、先方では僕と埴生との狗児ちんころのように遊んでいるのを可笑おかしがって見ていたものと見える。
ヰタ・セクスアリス (新字新仮名) / 森鴎外(著)
乳も碌に飲まない中に母犬おふくろには別れ、宿なしの親なしで随分苦労もしたが、今の旦那には勿躰ないほどお世話になつて、とんと応挙の描いた狗児ちんころのやうだと仰しやつて大変可愛がられたもんだ。
犬物語 (新字旧仮名) / 内田魯庵(著)
外の生徒は二人が盛砂の中で角力すもうを取るのを見て、まるで狗児ちんころのようだと云って冷かしていた。やあ、黒と白が喧嘩けんかをしている、白、負けるななどと声を掛けて通るものもあった。
ヰタ・セクスアリス (新字新仮名) / 森鴎外(著)