犬射いぬい)” の例文
犬射いぬいノ馬場で斬り死をとげ、じつに凄惨せいさんな全滅をみてしまったが、原因は一に、味方とたのんでいた者が、俄に、裏切りに出たことにあった。
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
現在はウルリーケの夫——さきには室戸丸むろとまるの船長だった八住やずみ衡吉こうきちに、以前は事務長の犬射いぬい復六またろくとなっているからだった。
潜航艇「鷹の城」 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
犬射いぬいノ馬場では毎日たくさんな人だかりがしていたが、なにせい“むほん人、誰々の首”とあるさらし場なので、ひとしく哀れな、とおもっても、探題北条氏をおそれて
私本太平記:06 八荒帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
大将の菊池武時、子息の三郎頼隆よりたか、大円寺の阿日坊隆寂りゅうじゃくなどは犬射いぬいノ馬場のあたりで——。
私本太平記:06 八荒帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「そして、犬射いぬいノ馬場で発狂したのは、寂阿の子三郎頼隆の妻であったのじゃな」
私本太平記:06 八荒帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)