物怖ものお)” の例文
あるかないかくらいの物怖ものおじしている様子が、弟の眼の中に震えているのを姉は見入った。
童話 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
すると、ドアが細眼に開いて、そこから物怖ものおじしたような二つの眼が覗いた。
深夜の客 (新字新仮名) / 大倉燁子(著)
不意に、素晴らしい最高音ソプラノが、叱りつけるような調子で平次の耳に響きました。顔を挙げると、少し高くなりかけた朝陽の中に立ったのは、吉五郎の娘お留の、物怖ものおじしない活き活きした顔です。
弁信の物怖ものおじをしないのに舌を捲いたようなあんばいです。
大菩薩峠:32 弁信の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)