牟礼むれ)” の例文
この事態にたいしては、花隈はなくまの熊も、生田の万も、また柴田しばた牟礼むれ、浮田などのやからも、もはや仲間喧嘩はしていられなくなった。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
昔は馬場だったそうであるが、その草原の向うに矢竹倉と並んで、牟礼むれという珍しい姓の、重臣の大きな屋敷があった。
契りきぬ (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
「まア、御疲れだせうに、ゆつくり横にでも成つて休まつしやれ。牟礼むれには三里には遠いだすから」
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
漸く長かった戦いの一日が暮れて、平家の船は沖に、源氏は、牟礼むれ、高松の野山に陣を敷いた。
そのまま焚火にあたためて、介三郎がまず茶碗にひとつうけ、浪人の牟礼むれ、浮田やそのほかの者へもまわした。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いさゝかの清い空気をだに得ることの出来なかつた自分は、長野の先の牟礼むれの停車場で下りた時、その下を流るゝ鳥居川の清渓と四辺あたりを囲む青山の姿とに、既に一方ひとかたならず心を奪はれて
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
「おううい。……牟礼むれどの、浮田うきたどの、ご両所か、そこにおるのは」
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)