もえさし)” の例文
少年は土方の夜業をして捨てて行ったもえさしにあたるために隧道の上の菰掛こもがけの仮小屋に来ていたのを私はたびたび見たことがあったからである。
駅夫日記 (新字新仮名) / 白柳秀湖(著)
と、眼の力が人間以上になったように灰の中にあるどんな小さいもえさしの破片でも見付け出した。
牡丹 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
長次郎は下を廻って雪渓をからんで来たと話したが、見た所では私達には真似られそうにもない。此峰の北側はわずかの平で二坪程の池がある。野営でもしたものかもえさしの木が散らばっている。
黒部川奥の山旅 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
その時に、以前の雲衲の一人は、長い火箸でもえさしの火をあやしながら
大菩薩峠:25 みちりやの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
雲衲うんのうは伏目になって、もえさしの火を見ながら語りつづける。
大菩薩峠:25 みちりやの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)