焦點せうてん)” の例文
新字:焦点
だん伸の三きやくの上にてゝ黒布くろぬのをかぶりながら焦點せうてんあはせる時のわたし滿まん足とうれしさ、とまたほこらしさとはいひやうもなかつた。
お袖の濃艶な美しさと、その淺ましく取亂した姿が、たぎり返る釜の中に、紅の花を一輪投り込んだやうに、物見高い江戸中の噂の焦點せうてんになつたことは言ふ迄もありません。
光線の強い焦點せうてんはピストルの裝彈篋さうだんきやうを熱した。そして、自働的に彈丸は發射された。紳士は實に微妙な偶然と偶然の吻合ふんがふの中で、實に不幸な死を遂げたのであつた。
探偵小説の魅力 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
その光線の落ちたところには、水を盛つた硝子器があつた。そしてその水面に落ちた光線の反射はちようどピストルの載せてあつた小卓の上に強い焦點せうてんいんしてゐた。事件は解決されたのである。
探偵小説の魅力 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)