無頓著むとんじゃく)” の例文
そんなはげしい光線の直射するのにも無頓著むとんじゃくのように、その空地のやや小高いところを選ぶと、三脚台さんきゃくだいえて、その上へ腰かけ
美しい村 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
日本人は古く鶏をい、殊に柳田氏が言われた通り、奥羽に鶏を崇拝した痕跡多きに、その直隣りのアイヌ人がかくまで鶏に無頓著むとんじゃくだったは奇態だが
その時分わたしは、彼等が何のために毎年まいねん芝居を催すか、ということについて一向無頓著むとんじゃくであったが、今考えてみると、あれはたぶん春祭はるまつり里神楽さとかぐら社戯ツエシー)であったのだ。
村芝居 (新字新仮名) / 魯迅(著)
こういう私たちの日頃の有様を御覧になっても、あの方は一向無頓著むとんじゃくそうに、たまにおいでになったかと思うと、又すぐお帰りになって往かれた。
かげろうの日記 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
白い毛の外套に身を包んで、並んで歩いている彼女よりも背の低い夫には無頓著むとんじゃくそうに、考え事でもしているように、真直を見たままで足早に歩いていた。
菜穂子 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
圭介達はしかし彼女には殆ど無頓著むとんじゃくのように、昔の知人だの瑣末さまつな日々の経済だのの話に時間をつぶしていた。
菜穂子 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
そしていつも話の圏外に置きざりにされている菜穂子には殆ど無頓著むとんじゃくそうに見えたが、圭介の母は女だけに、そう云う菜穂子の落ち著かない様子に何時までも気づかないでいるような事はなかった。
菜穂子 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)