潮沫しぶき)” の例文
ぞっとするほど冷たい波の潮沫しぶきで驚いて眼を覚ましたコン吉がキョロキョロと、四辺あたりを眺めるところ、どうやら海上の風景が平素に比べてなんとなく単調な趣を呈しているというのは、筏は
波濤と潮沫しぶきの中に孤立してゐる岩山や、人影も無い海岸に打ち揚げられた難破船や、雲を透かして、まさに沈まんとしてゐる難破船を照らしてゐる、冷たい、蒼白い月魄つきしろに意味をもたせてゐた。