滑脱かつだつ)” の例文
「いや、僕こそ。」と外交官のおいはさすがに円転滑脱かつだつである。「あの晩は酔いすぎて、僕はたいへんいけませんでした。あとで、僕は藤野先生に叱られました。」
惜別 (新字新仮名) / 太宰治(著)
実は寒月君の事だけ聞いて復命さえすればいいつもりで、御嬢さんの意向までは確かめて来なかったのである。従って円転滑脱かつだつの鈴木君もちょっと狼狽ろうばいの気味に見える。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
寧子はそう思いながら、良人の円転滑脱かつだつな酒席ぶりを、見ない振りして眺めていた。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)