うる)” の例文
うるみを帯びて威のある眼、眼尻に優しい情がこもつて、口の結びは少しく顔の締りをゆるめて居るけれど、──若し此人に立派な洋服を着せたら、と考へて、私は不意に
菊池君 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
斯の如きは世なり。斯の如きは人間なり。深く心を人世に置くもの、いづくんぞ憂なきを得ん。安くんぞ悲なきを得ん。甘露をらす法の道も、世をうるほすこと遅く、仁義の教も人の心をいかにせむ。
哀詞序 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)