溺死体できしたい)” の例文
溺死体できしたいが高価な衣類を着用していたなら(六郎氏はあの夜大島おおしまの袷に鹽瀬の羽織を重ね、白金プラチナの懐中時計を所持して居りました)
陰獣 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
なるほど石橋スパセニア(二十歳)は無疵むきず溺死体できしたいであるが、石橋ジーナ(二十三歳)は額に盲管銃創を負っている。
墓が呼んでいる (新字新仮名) / 橘外男(著)
けれども見習いは、引きずり上げられた溺死体できしたいのようにだらりとして、目ばかりを宙につっていた。
海に生くる人々 (新字新仮名) / 葉山嘉樹(著)
留守をしていた病身のショパンは、サンドが溺死体できしたいとなってその上へ水のしたたりが執拗しつように落ち続ける幻想に悩まされ、眼に涙さえ浮かべながら、さおな顔をしてピアノを弾き続けていた。
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂野村あらえびす(著)
あらゆる経験の示すところによれば、溺死体できしたい、または暴力によって殺害され、その直後に水中に投げこまれた死体が、水面に浮び上がれるだけ腐敗するには、六日から十日かかるのである。