湧出わきいづ)” の例文
余は昨夜も例の如く街にの見ゆるや否や、たゞちに家を出で、人多くあつまり音楽湧出わきいづるあたりに晩餐を食してのち、とある劇場に入り候。
夜あるき (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
雪枝ゆきえしぼつて湧出わきいづるやうに、あつい、やはらかなみだながれた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
そのたびごとにその響の湧出わきいづる森の影は暗くなり低い市中の燈火は次第に光を増して来ると車馬の声は嵐のようにかえって高く、やがて鐘の音の最後の余韻を消してしまった。