渾良夫こんりょうふ)” の例文
渾良夫こんりょうふはもともと小姓上りとて派手好みの伊達男である。此の日彼は紫衣に狐裘こきゅうを重ね、牡馬二頭立の豪奢な車を駆って宴に赴いた。
盈虚 (新字新仮名) / 中島敦(著)
夫の死後しきりに寵愛ちょうあいしている小姓こしょう上りの渾良夫こんりょうふなる美青年を使として、弟蒯聵との間を往復させ、秘かに現衛侯逐出おいだしを企んでいる。
弟子 (新字新仮名) / 中島敦(著)
おやと思って聞き耳を立てると、今度は莫迦にはっきり聞えて来た。「俺は渾良夫こんりょうふだ。俺に何の罪があるか! 俺に何の罪があるか!」
盈虚 (新字新仮名) / 中島敦(著)
此の太子疾と、大夫に昇った渾良夫こんりょうふとだけが、荘公にとっての腹心といってよかった。
盈虚 (新字新仮名) / 中島敦(著)