淑景舎しげいしゃ)” の例文
六条院では淑景舎しげいしゃかたの産期が近づいたために不断の読経どきょうが元日から始められていた。諸社、諸寺でも数知れぬ祈祷きとうをさせておいでになるのである。
源氏物語:34 若菜(上) (新字新仮名) / 紫式部(著)
中宮の妹原子が東宮の女御にょうごとして淑景舎しげいしゃに入られたのは、中宮二十歳の時であるが、清少納言は、衣裳のことを気にせられる女らしい中宮の面影などを点出しつつこの時の儀式を詳細に描いた後に
日本精神史研究 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
東宮の淑景舎しげいしゃの方は実母よりも紫夫人を慕っていた。美しく成人した継娘ままむすめを女王は真実の親に変わらぬ心で愛した。
源氏物語:34 若菜(上) (新字新仮名) / 紫式部(著)
などと明石は淑景舎しげいしゃに言った。姫君は涙ぐんで聞いていた。実母に対しても打ち解けたふうができず、おとなしくものの多く言われない姫君なのである。
源氏物語:34 若菜(上) (新字新仮名) / 紫式部(著)
あとで東宮は淑景舎しげいしゃかたの手から所望をおさせになったために、女三にょさんみやから唐猫からねこが献上された。
源氏物語:35 若菜(下) (新字新仮名) / 紫式部(著)
源大将の訪問を受ける時にもむつまじいふうに取り扱って、昔のとおりに親しく語ってくれるため、大将も淑景舎しげいしゃの方が羞恥しゅうちを少なくして打ち解けようとする気持ちのないようなのに比べて
源氏物語:35 若菜(下) (新字新仮名) / 紫式部(著)