浮雲あぶな)” の例文
そうして一方手を尽くして、貨幣の持主を探したのだ。そうして彼女を目つけ出したのだ。……浮雲あぶない浮雲い彼女は浮雲い!
銀三十枚 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
失ひたるは止事を得ず怪我けがのなかりしが幸ひなり實に浮雲あぶなき事成しと語りつ聞つ兩人は道を急ぎて辿りけり
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
かつて寄席で買て来た古い奴を、浮雲あぶない調子で小歌に話懸けて居る処へ、面白そうですねと例の婢が這入って来て、その話を中途で引取ってしまったが、そうなると貞之進には詞が出ない
油地獄 (新字新仮名) / 斎藤緑雨(著)
ナニ浮雲あぶない者か昨日横浜へ行て明後日で無ければ帰らんよイエ本統に恐い事が有る者かイエお泊りなお泊りよ若し何だアネ帰ッて来れば三人で裏口から馳出さアネ、ナニ寧児だッて大丈夫だよ
無惨 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
「この物騒な乱国に、たとえ領内でありましょうとも、そのお美しいご前様が、たった一人でお出かけなさるのは、ちと浮雲あぶなくはございますまいか」
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
浮雲あぶないところでござったよの——しかし老人が参ったからは心配のことはもはやござらぬ。お心安くおぼし召せ」
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「いや俺の手にも余ったよ。と云って火柱の主ではない。得体の知れない例の奴だが、全くあの時は浮雲あぶなかった」
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「ハイ有難う存じます。浮雲あぶないところをお助けくだされ、何んとお礼を申してよいやら、幸い怪我も致しませぬ」
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
浮雲あぶない所でござりましたな。お怪我がなくて先ずは重畳、確か貴女様は細川の……」
善悪両面鼠小僧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
これは浮雲あぶないと思いながらも、真面目に答えざるを得なかった。
岷山の隠士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
浮雲あぶない浮雲い」と冷々しながら、伊太郎は娘を見守った。
大捕物仙人壺 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
浮雲あぶない!」
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)