江水こうすい)” の例文
「渡らん、渡らん、大江の水、のぼらん、溯らん、千里の江水こうすい。——青春何ぞ、客園の小池に飼われて蛙魚泥貝あぎょでいばいの徒と共に、惰眠だみんをむさぼらんや」
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この『蓬莱曲』が出たという事実は、古い伝説が語るところの、江水こうすいの流れからあらわれた大きな亀が、その背に負うていたという、あの河図かとに比すべきものであったかも知れない。
しかも玄徳のいる新野は、この襄陽と江水こうすいひとつをへだてた近距離にある。おそらく玄徳の向背はこの際、はかり知れないものがあろうという点。
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
のみならず、一方は渺々びょうびょうたる江水こうすいてんみなぎり、前は自然の湾口をなして、深く彼方の遠い山裾まで続き、いずれへ渡るにも、舟便に依らなければ、もうどっちへも進めない地形だった。
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
折ふし、春靄しゅんあい江山こうざん江水こうすいは、絵のようだった。そして時々耳には
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)