江木えぎ)” の例文
堀尾一等卒にこう云われたのは、これも同じ中隊にいた、小学校の教師きょうしだったと云う、おとなしい江木えぎ上等兵じょうとうへいだった。
将軍 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
「文化生活」と云ふものも、あじはつて置いて損はない。そんな一種皮肉な気持もあつて、例の微苦笑を湛へながら、兎も角も其の当時在つた江木えぎの楼上へ行つて見た。
私の社交ダンス (新字旧仮名) / 久米正雄(著)
「そこまで、江木えぎさんが来たのだけれど、急がしいといけないから、また来ますって。」
江木欣々女史 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
受信機のスイッチをひねって置けば、この辺でラジオ体操が始まり、江木えぎアナウンサーのおじさんが銅羅声どらごえをはりあげて起してくれるのだが——彼、梅野十伍はいつもそうしている。
軍用鼠 (新字新仮名) / 海野十三(著)
勿論もちろん江木えぎ上等兵も、その中に四つ這いを続けて行った。「酒保の酒を一合買うのでも、敬礼だけでは売りはしめえ。」——そう云う堀尾ほりお一等卒の言葉は、同時にまた彼の腹の底だった。
将軍 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
そこへ江木えぎ上等兵が、突然横合いから声をかけた。
将軍 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)