江州こうしゅう)” の例文
江州こうしゅうは、米どころ、魚もとれ、気候もよい。気をゆたかに、刑期をしんぼうしてくれい。折をみて、弟を見舞いにやろうし、小費こづかいも届けようぞ。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
関寺小町というのは江州こうしゅう関寺の住僧が七夕の日に稚児ちごたちを連れて、その山陰にいおりを結んでおる小野小町のなれの果をおとない、和歌の問答をし、やがて稚児たちに童舞わらわまいを舞わすと、小町も興に乗り
俳句の作りよう (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
端公のひとり李万りまんが、地主屋敷の門を叩いて家の老主人なる者に会い「——はるばる山東さんとうの役署から、流刑の罪人をつれて、江州こうしゅうへ行く途中のものですが」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そこで、弟の張順は足を洗って江州こうしゅうで魚問屋に変り、張横は依然この界隈かいわいで、不景気づら板子稼業いたごかぎょうにぼやいて、こそこそ悪さをつづけていたところだった。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)