水道橋すいどうばし)” の例文
(例の事件につき、至急、赤外線写真撮影を頼む。撮影範囲は、聖橋ひじりばしより水道橋すいどうばしに至る外濠沿岸そとぼりえんがん一帯。行動に注意あれ。M13)
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
この次に見つけたらあれを買って来るのだと思いついた時には、自分をのせた電車はもう水道橋すいどうばしを越えて霜夜の北の空に向かって走っていた。
青衣童女像 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
白山上は団子坂だんござかから来た道、水道橋すいどうばしから来た道、高崎屋の方から来た道と、三つが一緒になって板橋へ延びています。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
二度目に美妙をおとのうたのは駿河台するがだいの自宅であった。水道橋すいどうばし内の皁莢坂さいかちざかを駿河台へ登り切った堤際どてきわの、その頃坊城伯爵がすまっていた旗本はたもと屋敷の長屋であった。
美妙斎美妙 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
去年、小林秀雄が水道橋すいどうばしのプラットホームから墜落して不思議な命を助かったという話をきいた。
十時五分前、一台のありふれた型の円タク自動車が、水道橋すいどうばしの方から、開化アパート前の電車通りを、規則一杯のフル・スピードで走って来た。見た所どこといって変った様子もなかった。
黄金仮面 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
私が帽子をって「今お帰り」と尋ねると、向うではもう病気はなおったのかと不思議そうに聞くのです。私は「ええ癒りました、癒りました」と答えて、ずんずん水道橋すいどうばしの方へ曲ってしまいました。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)