殴打おうだ)” の例文
旧字:毆打
しっかりしなよ、このしと、とおかっちゃんはかもの背中を殴打おうだした。もう二度もあっちへいったじゃないか、忘れたのかいこのしと。二度もだって、とかもは考えこんだ。
青べか物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
泰助は、幕の蔭よりこれを見て、躍りいでんと思えども、敵は多し身はひとつ、はやるは血気の不得策、今いうごとき情実なれば、よしや殴打おうだをなすとても、死に致すうれいはあらじ。
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
するとそれを合い図にして、耳をろうし目をくらますほどの恐ろしい殴打おうだは、ひょうの降るような音を立てて七つの馬車の上に浴びせられた。多くの者はうなって口からあわを吹いた。
窓から闖入ちんにゅうして、女中を殴打おうだ昏倒せしめ、殿村夫人を縛り上げて猿轡をはめ、それから品子を無抵抗にして置いて窓を担ぎ出し、梯子をどこかへ隠した上、裏の塀を越えて逃げる。
妖虫 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
しっかりしなよ、このしと、とおかっちゃんはかもの背中を殴打おうだした。もう二度もあっちへいったじゃないか、忘れたのかいこのしと。二度もだって、とかもは考えこんだ。
青べか物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)