武陵ぶりょう)” の例文
そうして七十歳にでもなったらアルプスの奥の武陵ぶりょうの山奥に何々会館、サロン何とかいったような陽気な仙境せんきょう桃源とうげんの春を探って不老の霊泉をくむことにしよう。
銀座アルプス (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
東晋とうしん太元たいげん年中に武陵ぶりょう黄道真こうどうしんという漁人ぎょじんが魚を捕りに出て、渓川たにがわに沿うて漕いで行くうちに、どのくらい深入りをしたか知らないが、たちまち桃の林を見いだした。
武陵ぶりょうには太守金旋きんせんがあり、長沙ちょうさには韓玄かんげん、桂陽には趙範ちょうはん零陵れいりょうには劉度りゅうどなどが、おのおの地盤を占めております。この地方は総じて、魚米の運輸よろしく、地も中原に似て、肥沃ひよくです。
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)