武辺ぶへん)” の例文
旧字:武邊
武辺ぶへんの敗亡者であり、生きる信念を欠いた自己のもてあましたものでありましたが、もういちど、人間として真に生き直ってみたいのでござる。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
つまり一遍の武辺ぶへんでは無いと見て取つたとでも云はうかな。はははは……(しまつた今度はわしが笑つた)でも本性が女だからな、云はばまあ、その方が当り前の事だ。
秋の夜がたり (新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
此人丈は軍刀を弔つて来て、見物する間もくわんだけはづして、傍に引き附けてをられる。これがひどく荒川の気に入つた。荒川は甲越の戦争の頃の武辺ぶへん話を聞いたことがある。
金貨 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
軍学の蘊蓄うんちくは当代屈指のひとりと数えられ、戦うや果断、守るや森厳しんげん、度量は江海こうかいのごとく、その用兵の神謀は、孔明、楠の再来とまで高く評価している武辺ぶへんでもある。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「最後まで、武辺ぶへんの心がけ、しおらし」
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)