さて翌年よくねん正月元日しょうがつがんじつあさ、おきさきはいつものように御殿ごてんの中をあるきながら、おうまや戸口とぐちまでいらっしゃいますと、にわかにお産気さんけがついて、そこへ安々やすやすうつくしいおとこ御子みこをおみおとしになりました。
夢殿 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)