)” の例文
かるが故に、道義的人生に相渉るべき適当の快楽なくしては、道義自身もれ、人生自身も味なきに至らん事必せり。
居たるを忘れし人の可疎うとましき声に見返れば、はや背後うしろに坐れる満枝の、常は人を見るに必ずゑみを帯びざる無き目の秋波しほかわき、顔色などはことれて、などかくは浅ましきと、心陰こころひそかに怪む貫一。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
銃鳴り剣閃めき、戦血地を染め、腥風せいふう草樹をらすの時に、戦争の現状を見る、しかれども肉眼の達せざるところ、常識の及ばざるところに、閃々たる剣火は絶ゆる時なきなり。
最後の勝利者は誰ぞ (新字旧仮名) / 北村透谷(著)