榴弾りゅうだん)” の例文
旧字:榴彈
アイヌと、熊と、樺戸監獄の脱獄囚との隠れ家だとされているこの千歳の山の中から、一個の榴弾りゅうだんを中央の学界に送るのだ。
星座 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
が今や二門の砲は、襲撃に便利な穴を、あるいはでき得べくんば一つの割れ目を、そこに作らんがために、障壁の中央めがけて榴弾りゅうだんを発射していた。
一刻後、太田ミサコはグリーブスな武者わらいをして、ハンド・バッグに一枚の紙片の重さを感じながら支那ホテルの階段に榴弾りゅうだんの音をたてて下降した。
女百貨店 (新字新仮名) / 吉行エイスケ(著)
御厚意かたじけないが、わが輩のように、いつ魚の餌食えじきになるか、裂弾、榴弾りゅうだんの的になるかわからない者は、別に金もうけの必要もない。失敬だがその某会社とかに三万円を
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
今やシャンヴルリー街の防寨を攻撃してる二門の砲のうち、一つは霰弾さんだんを発射し、一つは榴弾りゅうだんを発射していた。
ウェリントンはそこに、冷然たる勇気をもって立ちつくしていた。砲弾は雨と降りきたった。副官のゴルドンは彼のそばで倒れた。ヒル卿は破裂する榴弾りゅうだんをさしながら言った。
小銃の音も、榴弾りゅうだんの響きも、窓からへやにはいってくる霰弾さんだんも、襲撃の非常な喧騒けんそうも、何一つとして効果のあるものはなかった。ただ彼は時々、いびきの声で大砲の響きに答えるのみだった。
ルーツェンでは榴弾りゅうだん破片かけらで指を一本くじいた。