楯無たてなし)” の例文
「では残りおしいが、伊那丸いなまるどの、また会う機会もあるであろう。その宝物の御旗みはた、その楯無たてなしよろいが、かがやく日をお待ちするぞ」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
御旗みはた楯無たてなしの宝物が欲しさに、慾に目がくらんで、わたしのような少女にまんまとだまされた! オホホホホ……やッとお気がつかれましたか」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、くやしそうに忍剣が石櫃を引っくりかえすと、なかからごろごろところがりだしたのは、御旗みはた楯無たてなし宝物ほうもつに、ても似つかぬただの石ころ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かくて、さしも新羅三郎しんらさぶろう以来二十幾世という御旗みはた楯無たてなしの名家も、いつのまにか、二流国に下がってしまった。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
御旗みはた楯無たてなしも照覧あれ、あすこそは、織田、徳川の二軍をむかえ、一戦に雌雄しゆうを決してみせる」
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「お身たちの、案じてくれるはうれしいが、勝頼とて、今日の大事はぞんじておる。——しかも早、今朝、御旗みはた楯無たてなしを拝し、誓ってったものを、いまさら思いとどまることはならぬ」
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)