楫柄かじづか)” の例文
刀を持ったなりドブリと綾瀬川へ飛び込むと、よしあしの繁った処に一艘船がつないで居りましたが、とまを揚げて立出たちいでたは荷足の仙太郎で、楫柄かじづかを振り上げて惣兵衞の横面よこつらを殴る。
東側の入江の岸に、潮の流れが運んできた浮木が打ちあがってくる。どの船がどこで流したものか、焼印を押した淦水桶や楫柄かじづか、そうかと思うと、太い松の木が枝をつけたままで流れてきたりした。
藤九郎の島 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)