根株ねっこ)” の例文
心に悲しいおもいがあって、柳の根株ねっこに腰かけてつくづくと眺めて居ると、お光の眼には山が段々近うなって、微笑んで小手招こてまねぎするように思われる。
漁師の娘 (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
千歳村でも戸毎にかいこは飼いながら、蚕室を有つ家は指を屈する程しか無い。板の間に薄べりいて、大きな欅の根株ねっこの火鉢が出て居る。十五六人も寄って居た。石山氏が
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
成程お光は久し振りに歌い出して、また久しぶりに柳の根株ねっこに腰をかけた。そして久しぶりに筑波の方を眺めた。
漁師の娘 (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
歌うと泣く、泣くと直ぐ柳の根株ねっこに行って筑波を眺める。ややしばし眺める。筑波は常にお光の心を慰めた。
漁師の娘 (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)