栂尾とがのを)” の例文
栂尾とがのをの明恵上人は雑炊の非常に好きな人であつた。ある時弟子の一人が師僧を慰める積りで、ごく念入ねんいりの雑炊をこしらへた。念入だといつたところで、何も鰹節を使つたといふ訳ではない。
むかし笠置かさぎ解脱げだつ上人が、栂尾とがのを明恵みやうゑ上人を訪ねた事があつた。その折明恵は質素じみ緇衣しえの下に、婦人をんなの着さうな、の勝つた派手な下着をてゐるので、解脱はそれが気になつて溜らなかつた。