枝折しお)” の例文
小畑が送ってくれた丘博士訳おかはかせやくの進化論講話が机の上に置かれて、その中ごろにすみれの花が枝折しおりの代わりにはさまれてあった。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
四畳半が茶の間で、それが玄関のあがり口にありましたが、親しい訪問客は門を入ると左側の枝折しおりがありましたから、そこから中の六畳に通すことにしていました。
書斎 (新字新仮名) / 辻潤(著)
北寄り、南よりと、崩壊や草地を選んで、南を巻くようにくだり、偃松や岳樺、ナナカマドなどのやぶに阻まれると、枝折しおり代りの切分けを作って、乗り越えてゆく。
ある偃松の独白 (新字新仮名) / 中村清太郎(著)
と伯父は眼鏡をかけて一応吟味ぎんみした後、そこに枝折しおりのように挾んであった紙片をつまみ上げた。
脱線息子 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)