木訥ぼくとつ)” の例文
そのあとを受けてアストン博士は木訥ぼくとつな口調で同位元素の質量偏差を説明し、チャドイック博士がα粒子による原子の人工崩壊を述べたのであった。
木訥ぼくとつの口調で懸命になぐさめ、金内の肩に積った粉雪を払ってやったりするのだが、金内は、そのように優しくされると尚さら心細くなり、あああ
新釈諸国噺 (新字新仮名) / 太宰治(著)
誠忠、律義、木訥ぼくとつ恭謙きょうけん、そういう性質の正成ではあったが、宮家とはことごとく気心が合い、水魚の交わりを呈していたので、何事も気安く云うことが出来た。
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
腹のなか如何いかなる事を考えていても、逢えば、誰にも、愛想がよく、人をそらさず、ずいぶん如在じょさいのない人である、それで、大抵たいていの人は、茂吉を、「木訥ぼくとつ」ない人である
茂吉の一面 (新字新仮名) / 宇野浩二(著)
と佐吉は木訥ぼくとつな調子で、その口調をまねて見せた。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「おおよその郷民は仁に近い木訥ぼくとつ、融通きかぬ手合いではござるが、中には利にさとい者もあって……」
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)