朝餐ちょうさん)” の例文
簡単な御朝食はしるしだけお取りになるが、帝王の御朝餐ちょうさんとして用意される大床子だいしょうじのお料理などは召し上がらないものになっていた。
源氏物語:01 桐壺 (新字新仮名) / 紫式部(著)
若々しい二つの身体の清新な愛は、四月の朝である。それは露のように過ぎてゆく。心の若さは、太陽の朝餐ちょうさんである。
そして今朝の思いつきもなんのことはない、ロシアの貴族のように(午後二時頃の朝餐ちょうさん)が生活の習慣になっていたということのいい証拠ではないか。——
冬の日 (新字新仮名) / 梶井基次郎(著)
一本のマングローブの下で、果ものを主食の朝餐ちょうさんが進行した。レモンの汁をかけたパパイヤの果肉は、乳の香がやや酸㾱さんぱいした孩児あかごほおに触れるような、やわらかさとにおいがあった。
河明り (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
やがて朝餐ちょうさんは終った。
みずから指図さしずをしながら宮へ朝餐ちょうさんを差し上げたりさせるのを御覧になって、恋人を失ったあとのこの人の生活を気の毒にもお思いになり、趣のあることとも御覧になった。
源氏物語:49 総角 (新字新仮名) / 紫式部(著)