朝貌あさがお)” の例文
松やもっこくやの庭木を愛するのがファシストならば、つたや藤やまた朝貌あさがお烏瓜からすうりのような蔓草を愛するのがリベラリストかもしれない。
KからQまで (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
自分達が大阪から帰ったとき朝貌あさがおはまだ咲いていた。しかし父の興味はもう朝貌を離れていた。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
大井川の水れ/\にして蛇籠じゃかごに草離々たる、越すに越されざりし「朝貌あさがお日記」何とかの段は更なり、雲助くもすけとかの肩によって渡る御侍
東上記 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
父はその年始めて誰かから朝貌あさがおを作る事を教わって、しきりに変った花や葉を愛玩あいがんしていた。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
秋草などのある広場へ出てみると、カンナや朝貌あさがおが咲きそろって綺麗きれいだった。
雑記(Ⅰ) (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
僕は僕の前にすわっているさくの姿を見て、一筆ひとふでがきの朝貌あさがおのような気がした。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)