うつ)” の例文
これこのわたしの今着て居るのも去年の冬の取りつきに袷姿あわせすがたの寒げなを気の毒がられてお吉様の、縫直なおして着よと下されたのとはおまえの眼にはうつらぬか
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
見るに足らぬとそちで思わばおのれが手筋も知れてある、大方高の知れた塔建たぬ前から眼にうつって気の毒ながら批難なんもある、もう堪忍の緒もれたり
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
縫直なほして着よと下されたのとは汝の眼にはうつらぬか、一方ならぬ御恩を受けて居ながら親方様の対岸むかうへ廻るさへあるに、それを小癪なとも恩知らずなとも仰やらず
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
此花おほよそは薊に似て薊のように鬼々おに/\しからず、色の赤さも薊の紫がゝりたるには似で、やゝ黄ばみたれば、いやしげならず、葉の浅翠あさみどりなるも、よくうつりあひて美しく
花のいろ/\ (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
見るに足らぬと其方で思はば汝が手筋も知れてある、大方高の知れた塔建たぬ前から眼にうつつて気の毒ながら批難なんもある、既堪忍の緒も断れたり、卑劣きたな返報かへしは為まいなれど源太が烈しい意趣返報は
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)