暁風あさかぜ)” の例文
旧字:曉風
六月の爽やかな暁風あさかぜが、私の微動もしない頬をなでた。私はサッキから眼を覚ましているのである。
窓の硝子は破壊こわされて、大きな穴が開いている。そこから暁風あさかぜが吹いて来る。夜は何時いつの間にかしらじらと明けて蒼白い光が花壇の花をぼんやり、照らして居るのでした。
西班牙の恋 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
そう思うと、雨戸を鳴らす風も暁風あさかぜのように考えられるし、気のせいか戸の隙間に仄白い薄明りさえ感じられた。それにしては、世間が死のように静かなのが——初太郎はむっくり起き上った。