時風じふう)” の例文
夜、濱傳ひを歸り來れば、西南の時風じふうにはたかれて進む獅子のやうな印度洋の怒濤が、恐しい泡沫を磯際にぶつけてゐる。
椰子の樹 (旧字旧仮名) / ポール・クローデル(著)
上野ばかりでなく、僧院に、男か女かわからない者が出入りするのは、時風じふうの当然で、ふしぎはない。
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「分らぬ奴だな。上杉家や足利家がと、いつ言った。……しかしだ。武家全般の時風じふうとあれば、上杉家だって、末始終すえしじゅうにゃあ、ろくなことはありッこない。見切りをつけていい潮だ」
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
わけて知職人の多い南都は時風じふうも烈しい。——今も、相手の弁をわらって
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
遊戯化されないのは、武門の武事だけ——という時風じふうである。