昵近ちかづき)” の例文
お前の亭主はあの熊と昵近ちかづきだというじゃあねえか。まあ、それはそれとして、お前は今の魚商さかなやと何をこそこそ話していたんだ
半七捕物帳:12 猫騒動 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
お庄のところへ来たてに磯野はそんな金で、軟かい着物を拵えたり、持物を買ったりして景気づいていたが、湯島界隈かいわいの料理屋にもちょいちょい昵近ちかづきの女があった。
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
情婦おんなの母親が、菓子折や子供への翫具おもちゃなどをもって、ある日浅井の留守に、奥さんにお昵近ちかづきになりたいといって、挨拶に来たことが、一層お増の心を、深い疑惑のふちに沈めた。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
ちょいちょい納品おさめものを持って行くうちに、じき昵近ちかづきになった被服廠の役員たちが、そう云って、てきぱきした彼女のあきないぶりをめてくれたことばが、自分にそうした才能のある事をお島に考えさせた。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)