旁証ぼうしょう)” の例文
私はそれを、あるいは私の個性の自発を促した機縁として述べるか、あるいは私の議論の旁証ぼうしょうとして述べるかに過ぎないのです。
婦人も参政権を要求す (新字新仮名) / 与謝野晶子(著)
幾つもの旁証ぼうしょうを見つけ出して、以前は海のあなたのニルヤカナヤとの通信往来が、それほどにも頻繁ひんぱんにあるものと信じられていたことを明らかにする必要があろう。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
心の儘は牽強けんきょうの説であるが、土の崩れる崖をママということは旁証ぼうしょうがある。相模の愛甲あいこう村辺でかくのごとき崖地をママックズレということは、現にその地に往って聞いた。また
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
一方には農村の経済史もこんな地名を持つ部落の起立が比較的新しいものであることを旁証ぼうしょうしている。その原由が少なくも二つある。第一には村が高い処から下りて来る傾向である。
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
それを単なる昔話の列に押並おしならべて、空想豊かなる好事家こうずかが、勝手な尾鰭おひれ附添つきそえたかのごとく解することは、少なくとも私が集めてみたいくつかの旁証ぼうしょうが、断じてこれを許さないのである。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)