文芸倶楽部ぶんげいくらぶ)” の例文
旧字:文藝倶樂部
乙羽なき後の硯友社の総務として『文芸倶楽部ぶんげいくらぶ』の一角に巨頭を振っていたが、数年前から宿痾しゅくあのために全く文壇を隠退してしまった。
一房ひとふさしぼっては、文芸倶楽部ぶんげいくらぶの芸者の写真を一枚はぐり、一房しぼっては一枚はぐる。芸者の絵が尽きた時、彼はコップの中をさじき廻して妙な顔をしている。
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
そのころ『文芸倶楽部ぶんげいくらぶ』の編輯主任をしていた森暁紅もりぎょうこう君から何か連載物を寄稿しろという註文があったので、「半七捕物帳」という題名のもとに先ず前記の三種を提出し
半七捕物帳の思い出 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
同時にまた「国民小説」「新小説」「明治文庫」「文芸倶楽部ぶんげいくらぶ」というような純文芸雑誌が現われて、露伴ろはん紅葉こうよう等多数の新しい作家があたかもプレヤデスの諸星のごとく輝き
科学と文学 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
当時は「明治文庫」「新小説」「文芸倶楽部ぶんげいくらぶ」などが並立して露伴ろはん紅葉こうよう美妙斎びみょうさい水蔭すいいん小波さざなみといったような人々がそれぞれの特色をもってプレアデスのごとく輝いていたものである。
読書の今昔 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
この脚本は『文芸倶楽部ぶんげいくらぶ』の一月号に掲載せられたもので、相変らず甘いお芝居。頼家が伊豆の修禅寺で討れたという事実は、誰も知っていることですが、この脚本に現われたる事実は全部嘘です。