敬太郎けいたろう)” の例文
けれども身の一大事を即座に決定するという非常な場合と違って、敬太郎けいたろうの思案には屈託のうちに、どこか呑気のんきなものがふわふわしていた。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
一日二日はつい気がつかずに過ぎたが、五日目ぐらいになっても、まだ森本の影が見えないので、敬太郎けいたろうはようやく不審の念を起し出した。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
この妙に落ちつき払って古風な煙草入たばこいれからきざみをつまみ出しては雁首がんくびへ詰める男の誤解は、正解と同じような不安を敬太郎けいたろうに与えたのである。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)